「焙煎(ロースト)」は、コーヒー豆を煎る工程のことです。精製後の生豆は、薄い黄緑色。味はほとんどなく、青臭い香りがします。それを焙煎すると、ツヤのある濃い茶色に変わり、コーヒーらしい味と香りを生まれます。
生豆に熱を加えていくと、まず内側の水分が少しずつ抜けて、白っぽい色に変わります。熱を吸収して収縮した豆の表面には次第にシワが寄り、色も茶色みを帯び始めます。さらに熱が加わると、豆からは炭酸ガスが発生。それに豆が耐えられなくなり、ポップコーンがはじけるような破裂音がし始めます。これを「ハゼ」と呼び、焙煎中に2回発生します。1回目は「1ハゼ」、2回目は「2ハゼ」といい、焙煎具合が分かる目安になると言われています。やがて豆内部の油脂が表面ににじみ出し、ツヤが出始めたところで完成。焙煎後の豆の色は、おなじみのチョコレート色になり、香ばしいコーヒー本来の風味と適度な苦みが生まれます。熱を加える時間を変えることで、コーヒーの色や香味を多様に変化させることができます。
焙煎機には主に3つのタイプがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
①直下式
網状に穴の開いたドラムに豆を入れ、直接熱源を当てて加熱する。高温で焙煎できるが、煎りムラがでやすい。
②熱風式
穴のないドラムに豆を入れ、中に熱風を送り込んで焙煎する。均等に焙煎できるため、渋みの原因となる「豆の中の水分残り」を防げる。
③半熱風式
穴のないドラムに豆を入れ、下からの直火と、ドラム内に送り込む熱風の両方を使って焙煎する。温度管理はしやすいが、表面が焦げやすい。